540クラス、スタート!
2021.5.26。初出場の540クラス。出場台数は13台。
いわゆるハイエンドクラスとは異なり、ワイワイと和やかな雰囲気のクラス。競技バギーの裾野を広げる貴重なクラス。・・・が、レーサー息子は険しい表情。緊張してるか?
我が家のようにレース初心者もいればベテランもいる。
出場マシンも実にバラエティーに富んでいる。
タミヤのお馴染みのバギー達。多いのはやはりTT02B、DT03あたりの現行マシン。中にはホーネットや、京商のスコーピオンなども。そんな中、息子は少数派のDB01。非力なモーターに抵抗が大きいドライブトレイン。足回りだけは一歩リードか?
タイヤはキット付属のまんま。
なんと、ベテラン勢はこのコース指定のホールショットに履き替えてる!!
確かにタイヤは自由だけど・・・
ドライバーの息子はいたって冷静。練習走行を終えた彼は、やはりしきりに「遅い!」と言う。
「だって540だもの。周りも同じだよ!」
心配なのは全くノーメンテでレースに臨んだこと。
前走らせたのはいつだっけ?
まだまだこの頃までは「どうにかなるだろう」「そんなに壊れないだろう」という甘えがかなり強かった。そもそもがズボラな性格な自分。メンテがいかに重要かがワカルのはまだ先のことだ。
バッテリーはタミヤのSP1600。これも前日に充電したモノ。バッテリーを熱くするなんて知識もなかった。
予選スタート
予選は2クラスに分かれて行われる。5分間が2回。スタッガースタートという、等間隔を開けて走り出すというルール。追いつかれたら道を譲らなくてはいけないのが初心者には難しい。
息子は既にオンロードレースで経験していたので問題はなし。
ジャンプがない540クラス。淡々とコーナーを攻めながら走る息子。見ているこちらは握る拳に汗が。肩には力が入る。
外から見ていて気づいたのはストレートの遅さだった。それでも前方のマシンを難なくパスし、2回の予選で13台中2位。
参加者の皆が皆バリバリのレーサーではないにしろ、上々な位置につくことが出来た。
予選上位はやはり、レーサーの顔触れ。そんな中2位なんだから良かったじゃない?
しかし、息子の表情は曇ったままだ。
もしかしたらなんらかのマシンの不調を感じとっていたのかもしれない。しかし、まだ息子自身にもそれが何かは分からないし、私にもわからなかった。
そして、私自身、レースに出る息子の気持ちに寄り添い、勝つマシンを組まねばならない、いう気持ちを思い知る出来事が。
いよいよ決勝
2番グリッドからのスタート。1番グリッドはハルヒト選手のTT02B。3番にはヒカル選手のDT03。1コーナーでの大混乱が予想できる。
スタート直後、うまく最初のコーナーを抜け、2位のままの滑り出し。よし、いいぞ。
トップのハルヒト選手のTT02Bはストレートが速く、置いていかれる。しかし、ボコボコの土路面で足を取られて真っ直ぐ走れない。
息子のDB01は、ストレートこそ遅いが、足回りがギャップを上手くいなしているように見える。
冷静にコーナーを突いて攻める。オンロードでの経験が生きているようだ。
差はなかなか開かない。
手に汗握るデッドヒート
トップのクルマが転んだり、ハマったりすればワンチャンあるかも?
次の瞬間、トップ車両がコーナーに引っかかっている隙にトップに踊り出た!
よし!いいぞ!そのまま行け!
見ている側にも力が入る。
1位をキープしたのはわずか一周。
とにかくトップスピードが伸びないDB01号。
後ろにピッタリつけられ、プレッシャーをかけてくる。ジワジワと差が詰まる。
2連を超えたストレート。
あっけなくハルヒト選手にパスされ、直後に転倒。
後続にも次々とバスされ、順位を大幅に落とした。
しかし、そこで諦めずに淡々とレースを続けられるのが彼の凄いところ。
自分ならとっくに諦めモードか集中が途切れ、とっ散らかってしまうに違いない。
また淡々とラップを重ね、3位まで順位を上げてきた。
しかし、最後の最後、ストレートでヒカル選手のDT03にパスされ、惜しくも4位に終わった。
初レースを終えて
拳を握りしめて、歯をくいしばりながら泣く息子。
初めてみる、激しい感情を剥き出しにした様子。
「遅いんだよ!」
マシンを掴み投げようとする息子を三瓶氏にたしなめられる。
「何があってもマシンを大切に出来ないヤツは勝てない」
それでも彼の怒り、苛立ちは収まらない。
私は息子がこんなに激しい気性の持ち主で、こんなに負けず嫌いなことを恥ずかしながら初めて知った。運動会の徒競走でも、マラソン大会でも見せたことのない表情。
マシンをチェックしていて気づいた。
プロポを少しでもいいヤツでと自分用のものに交換し、ハイポイント設定をしていなかったことに。
設定して、確認。明らかに全開時の音が違う。
やはりそうだ。アクセル開度が全開になっていなかったのだ。
彼の言う「遅い!」は以前、彼自身のプロポで操縦した時とスピードが違うことからきていたのだ。
それを「周りも同じだよ、540だし」と相手にしなかった自分。
レース結果にタラレバはない。
それでも、ちゃんと全開に出来ていたら、最後のストレートで抜かれることはなかったのではないか。
自分は本当にダメだ、と落ち込んだのは言うまでもない。オンロードのタミチャレでも何度も自分の整備ミスがあった。反省が生きていない。
帰りの車内。
「またオフロードのレースやる?」
「やる。」
嫌になったんじゃないのか。
この日がオフロードレースにどハマりしていくスタートになった。
metabonz宮