コラム

【ラジコン】少年、オフロード全日本への道【予選編】

ラジコンファンの皆さまこんにちは。

今日は、JMRCA電動オフロード全日本選手権スポーツクラス・予選のお話です。

全国から集まった、ラジコンそしてオフロード・バギーの猛者たちが技を競い合う天下一武道会!

今回、初参加の我が家は何を見て、何を感じたか!?

「もう終わった、と思った」

「もう終わった、と思った…」

朝一番の2WDコントロールプラクティスが終わった時の気持ちについて、かなり後になって息子が語った感想である。

前日、金曜日の夜。

21時半に関空に降り立ったヒロキ少年。

学校の期末テストを終え、やっとの思いで全日本会場のある大阪にたどり着いた。

最後にマニアリを走ったのは2ヶ月前。

翌朝、練習無しのいきなりのコントロールプラクティスでは予想はしていたが、それ以上に悶絶、大苦戦。

GBでの調整も、全くと言って良いほど意味をなしていないのは宜なるかなである。

(違う。俺はこんなヘタクソなんかじゃない!)

思い通りに走れない。人馬一体になれない。

愛機B7と自分自身に向けられた、怒りと悔しさ。

コントロールプラクティスは実質、速い順から走るヒートを決めるためのもの。

結果は87台中の27番目。第7ヒート4番。

いわゆるAメインヒートと呼ばれるのは第10ヒート。

ヒロキ少年が入りたかったそこには入れなかった。

重苦しいピット。無言を貫くヒロキ少年。

そして、ヒロキ以上に打ちひしがれたのはワタシだった。

(いやいや、ヒロキはこんなんじゃない。上手く走れないのはやっぱりクルマがダメなのか?俺のせいだ。申し訳ない…)

「どうだった?何でも良いからフィードバックをくれよ」

やるせなさ、焦り、苛立ち。

口調もつい、責めたような感じになってしまう。

だが、

単にあまりにハイグリップな路面に少年の身体が、手がすぐには適応出来なかっただけだ、と知るのはかなり後のこと。

とにかくこの重苦しい空気をなんとかしなければ。

TeamAJの皆さんとteam GBの激励

この朝、ヒロキ少年を暗くて深い沼から掬い出してくれたのは、他でもない、GBサーキットオーナーでヒロキがラジコンを始めた時からの付き合いの崎山さんだ。

なんと、本来なら所用で来られないはずだったのに、急遽夜中にクルマを飛ばし、はるばる千葉から駆けつけてくれたのだ。

これまた崎山さんの幼馴染かつ、GBサーキット名物MCのお実行さんと共に!!

涙が出るほどの安堵感。

疲労と極度の緊張でバキバキになっているヒロキ少年とワタシを、

そして一緒に参加しているタイトくん親子、ヒカルくん親子にとっても、

こんなにありがたく、嬉しいことはない。

「いいか、ヒロキ、よく聞いて!俺が来たから大丈夫。俺、運を持ってるから!」

いつもの調子で話しかける崎山さん。

少しずつ自分を取り戻していくヒロキ少年。

やっぱり自分たちだけではどうにも出来なかったと思う。本当にありがたい。

さらにさらに、なんと、これまたヒロキ少年がラジコンを始めたばかりの時から可愛がってくれているヨースケ氏もチーム京商のサポートの為に来ているにも関わらず、ヒロキ少年にもアドバイスとサポート…

チームの垣根越えすぎ。

team GB千葉から来過ぎ(笑)

他にも天堂さんを始め、地元マニアリの方々にもまだまだ書ききれないくらい声をかけていただき、なんとかやれたのだった。

なんて日だ!(涙)

そして、この朝、長距離運転の疲労と、雰囲気に飲まれて全くメンタルが保てなくなってしまったワタシを救って下さったのは、

全日本チャンピオン、加藤航輝選手のお父さん、加藤大介さん(DKさん)である。

DKさんとはteamAJ加入以前よりメールなどでのやり取りをしていた。

レーサーの子を持つ父は何を感じ、どうしたら良いか。

今や世界に羽ばたく航輝選手の父である。

ご自身の経験を元に、優しく、丁寧に、ワタシがこれ以上落ち込まないように話して下さった。

初めての全日本。

地元じゃ負け無しのレーサーも、慣れない環境、雰囲気、緊張感に飲まれてしまう。

サポートする父親もそうで、どんどん萎縮してしまう。

いつも通りを貫くことの難しさ。

普段通りのチカラが出せたなら…

DKさんは、ワタシの状況(話を受け入れられるか)を見ながら少しずつ、アドバイス。

親子でラジコン競技に取り組むパパの知られざる孤独と苦しみを誰よりも分かっている人が

真剣に寄り添ってくれるありがたさに、ただただその幸運に感謝するのだった。

「俺が先に折れてどうすんだ!」

乱高下する気持ちをコントロールしようと正気を取り戻す。

人は、いや、ワタシはこうも雰囲気や空気に飲まれてしまうのか。疲れに気持ちが負けてしまうのか。

そんな経験ができるのも全日本だからなのだ。

最後にteamAJオーナーの安宍代表である。

ワタシやタイトパパ氏、ヒロキ少年やタイトくんに余計なプレッシャーをかけまいと、いつも笑顔で冗談を飛ばしながら優しく声をかけてくださった。

つくづく、ありがたいな、恵まれてるなと思ったのだった。

少年、意地を見せる!

そんなヒロキ少年だが、2WD予選が進むに連れ徐々に調子を上げて行った。

路面に慣れ、手も動くようになった。

予選3回目についに18周に入れヒートトップ。総合で10位まで追い上げた。

その影には、全日本チャンピオンの加藤航輝選手のサポートもあった。ヒロキ少年の走りを見て、サーボのセットを変更したり、走り方のアドバイスなど、実にきめ細やかな対応。

続く4WDでは、コントロールプラクティスでも気を吐いて第六ヒートに残れた。(Aメインヒートは第7ヒート)

予選1回目に会心の走りで19週に入れ、3回が終わった時点で12位。

2WD、4WD共に翌日に希望を繋げることができた。

まとめ〜気力・体力、疲労との戦い

teamAJ東野さんと

この全日本遠征、何が1番の課題かはやはり気力・体力と疲労だろう。

我々パパは若くはないので仕方ない面もあるが、

若さ溢れるキッズレーサーたちも、長丁場の戦いにかなり参っている。

疲れに負けない体力、気力。

参加してはじめて分かることばかりだ。

朝イチで大浴場に行くと、京商(AMR)の竹馬さんが!

ヒロキ少年と3人。湯船で「レースとは」をお話するという(笑)

さあ、いよいよ決勝。

後は悔いなきよう全力を尽くすのみ。

どうなる?