コラム

2023GBオフロードR1に行って来ました【キッズレーサー】

勝利への道はある種の狂気が必要なのかもしれない。

狂っている。常人から見れば異常とも思える情熱、想いが交錯するのがレース。

誰よりも速く、誰よりも前へ

ドライバー、メカニック、応援する人、皆の想いを乗せて1/10のマシンが力強く大地を蹴る。

だからこそ、どんな草レースだろうとそこにドラマが生まれるのだ。

その場でしか味わえない、カタチのない想い。

それを共有するために、僕たちはある種の狂気に身を任せる。

あきらめるのは嫌なんだ

※カイパ氏がヒロキにくれたスティック羊羹。海飛氏がレース時に集中力を高めるために食べていたものだと言う。ガブリと齧って操縦台を登っていく。

2WDオープン決勝。

この日は予選から好調で自己ベストを更新。

先週の練習が効いたようで、初のAメイン2番グリッドを獲得。

しかし非情にもポンダーチェック走行でサーボが壊れてしまう。

「ぐ、・・・・ここで?」

先々週予備のサーボを使ってしまい、手持ちのサーボはない。

万事休すか。

「サーボ、あるよ!」

佐藤さん、崎山さん、カイパさんの尽力で代替サーボに猛スピードで交換。出走出来ることに。

「ヒロキを決勝で走らせてやる!」

チームGBの熱い思いに震えた。

スタート。

先頭はささっきーさん。熟練、手練のテクニカルドライバー。普段はにこやかな紳士だが、レースになると熱い。

2位を守りながら慎重に走る。

いいぞ、丁寧な走りだ。

インフィールドS字で集団に巻き込まれて順位を落とすも、したたかにすぐ順位を上げて行く。

今までだったら、カッとなってミスを連発する場面だ。

レース開始から1分20秒、3連ジャンプを超えたRB7が右にマシンを寄せた。

サーボホーンが折れていた。

さすがにこれは仕方がない・・・ガックリ肩を落としたその時、カイパ氏がマシンを持ってピットに走る。

「諦めるのは、俺は嫌だ。」

凄まじい速さでフロント部をバラしサーボホーンを取り替える。

しかし、後少しと言うところでタイムアップ。

「ごめんな、ヒロキ」

時間がないのは分かっていながら、無理かもしれないと分かっていながら、必死でマシンを直してフィールドに戻そうとするアツさに、思いに、不覚にも涙が出てしまった。

こうやって海飛さんとやってきたんだな。

レースの世界で戦うこと、その意味を噛み締める。

パパメカニックが諦めてどうする。

「気持ち切り替えて四駆行こう!」

カイパ氏の笑顔に大きな勇気をもらったヒロキと、ワタシだった。

4WDオープン決勝

4WDは予選から絶好調。

初のTQを獲得してのスタート。

しかしその裏側にはカイパ氏の細かな助言があった。

予選1回目、暫定TQ。

しかし、調子が良いからと言ってそのままにせず、タイヤ剥がれやビスの緩みを必ずチェックすること。

ホイールとボックスナットの干渉や、ガタをみつけ、ヒロキがいない時にさっと直しておくようにと指示をもらう。

子どもを不安にさせない配慮。

子どもにとってパパが1番。信頼して走れるように全力を尽くすのだ、と。

その繰り返しが結果を呼ぶのだ。

スタート。

綺麗に決め、トップで3連へ。着地が乱れ4位へ後退。

さすがエキスパート揃いのGB。そう易々とトップにいさせてはくれない。

イシゲさんの走り、特に夜、路面が悪い時の走りは鮮烈だ。

路面は夜露と地面からの水分でスリッピー。四駆と言えども神経をすり減らしながらの走行。

またもやインフィールドで後続と絡み、順位を下げてしまう。

しかし、そこからが違った。

冷静に周回を重ね、2位に1秒のところまで追い上げて3位フィニッシュ。

GBで走り始めて約2年。

初のモデ四駆の表彰台をゲット。

しかし、ヒロキに笑顔はなく、悔しくて仕方ない様子。

初めてのTQに緊張し、1番を取る難しさに悶えた決勝だったという。

〜限界を超えてゆけ〜

レース後、カイパ氏に四駆の稽古をつけてもらう。

「そこ握って、もっと行けるよ!」

声かけに応えて走らせるヒロキ。

「まだマシンの限界の中で走らせてる。良いよ壊しても、もっと行こう!」

もはや路面はズルズルの中、カウンターを当てながら握る。

「限界を超えていく。」

これが私たち親子が目指していくことなのかもしれない。

今回、初めてレースを観ている方からマシンを褒められた。

「全然跳ねてないし、良く走ってるよ!」

「マシンも良いし、ドライバーが良いね!」

夜な夜な指先を真っ黒にしてメンテしながら、

「あー、何やってんだろ。」と虚しくなることもあった。

親子2人の思いがシンクロして走る。そのために日々頑張るのだ。

そしてレースで得た様々な想いを胸にまた日常へと帰ってゆく。

今回もたくさんの方にお世話になり、楽しくレースができた。 

ありがとうございました。