ラジコンファンの皆さまこんにちは。
普段は競技ラジコンのメカニックとして主にハイエンドバギーをいじっていますが、たまに自分自身も無性にラジコンを走らせたいと思うときがあります。
そんな時に再会したのが、タミヤの1/10オフロードバギー グラスホッパー。
今から35年前、ワタシが小学生の頃に初めて出会ったホビーラジコンです。
1984年に発売されたグラスホッパーがほぼ当時のまま手に入れられる!と言う事実。
単なるノスタルジーなのか、はたまた新たな扉をこじ開けてしまうのか?
今日はそのお話を。
グラスホッパーはラジコンブーム復活のカギになるかもしれない
結論から言うとそう考えたのだった。
あらゆるジャンルはガチマニアの存在が破壊する、なんて言葉もあるくらい、マニアックになればなるほど、間口は狭くなり、人口は減っていく。
今、我々親子がハマっている競技ラジコンも、お世辞にも競技人口が多いとは言いづらい状況にある。
何故か。
入門者、初心者人口。ライトユーザー人口が少ないから、と仮定できる。
ウチのようにタミヤで入門し、レースに目覚め、更なるステップアップを、という人を増やしていくなら、入り口にたくさん人を呼ばなくてはならない。
その入門者の中から、必ずもっともっと!と言う層が出てくるからだ。
マニアックなマニアたちが内輪でキャッキャウフフやっていてもダメなのだ。
今回、グラスホッパーで遊んでみて、これはもしかしてもしかするぞ?!と感じた。
シンプルイズベスト。
理屈は要らない。
遅くても楽しい。
遅いから楽しい。
思い通りにならないから楽しい。
そんな魅力が詰まっているのがグラスホッパー。
タミヤのグラスホッパー、380モーターがキテるらしい。
いやいや、グラスホッパーなんていつのラジコン?380なんてショボいでしょ?
いつの間にやら、スピード!スペック!走行性能!・・・みたいなのに毒されてしまった自分に気づく。
特に息子と競技バギーに明け暮れてからは顕著だった。
しかし、考えてもみて欲しい。
もはや、速くなり過ぎて、ワタシ自身手に負えなくなった怪物みたいなマシン。
自分で走らせられないラジコンなんて、
完全に「俺のラジコン」ではない・・・
そんなある時、GBサーキットで完全ノーマルのグラスホッパーでレースをやる、と言う話を聞いてふと考えた。
「買ってみるか。安いし。」
もちろん、ドライバーは息子ではなく、このワタシだ。
懐かしさと新鮮さ
早速、プロショップフタバから取り寄せて組み立てる。
小学生のころ、欲しくて欲しくてたまらなかったグラスホッパー。構造は至ってシンプル。
そして今となってはビックリするくらいいろんな部分が華奢。細くてヤワい。
途中、タイヤにインナーホイールを挿入するのが上手く行かずに苦戦したものの、それ以外は非常に組み立てやすい。流石タミヤ、なキット。小学生の自分は結局、親父を頼ったんだっけか。
サクサクと完成!
ウオォ!カッケー!!
ずっとハイエンドバギーに感じていた違和感はコレだったのか、と気づく。
そう、実車感とスタイリッシュさだ。
グラスホッパーはバギーレースの本場アメリカのシングルシーターバギーをイメージしてスケールモデル化したもの。
ボディは今見てもスタイリッシュ。
ドライバー人形を乗せた佇まいは実車感がちゃんとある。
走らせる!
いてもたまらず、早速、近所の公園に持って行って走らせる。
キュルキュルキュルキュル!
380モーター、こんなに軽快だったっけ?
35年前は確か6Vバッテリーが標準だったはず。7.2のニッカドに380は充分パワフルだ。
思いの外、ビュンビュン走る。830gしかない軽量ボディ、シャーシが効いているのだろう。
それより楽しいのがその挙動だ。
「うおおぅ、曲がらねえ!!」
2WDバギーであるからして、スロットルを緩めないと曲がらないのはもちろん、
常にヒョコヒョコと落ち着きがなく、ステアリングは舵角が小さい上に真っ直ぐ走らせるのが難しいと来ている。
走らせながら、
「おっ!」
「あっ!」
と、自然に声が漏れる。
グラスホッパー=バッタ とは良く名づけたもんだ、と今になって感心する。
想定外の方向に跳ねる(笑)。
何処に行くか分からない、だから楽しい!
ダンパー機構を持たない、バネだけの減衰は実にスリリングだ。
そして、バッテリーがなかなか減らないのにも驚く。フルスロットルでかなり遊べるのだ。
スピードが手に負える範囲と言うと、すぐに飽きてしまいそうだが、さにあらず。
上手く走らせるにはコツがあることに気づいた頃には、今度は誰かと一緒に走らせたくなるに違いない。
どうせなら、レースだ
グラスホッパーがたくさん!!
GBサーキットでは毎月、ハイエンドのレースの中にグラホ380クラスでレースが行われている。
予選2回、決勝一回とたくさん走れ、
レースの中で何度も順位が入れ替わるなど、初心者からベテランまで手に汗握るバトルが楽しめる。
マシンは非情にもすぐ転ぶし、真っ直ぐ走らない。でも、凄い狭いスイートスポットがあり、そこを見つけてぐんぐん走れるようになる!
やってる方も笑いながら楽しんで走れるし、見ている方は実にのどかなひと時(笑)。
※レースレギュレーションの「完全ノーマル」というのがミソ。オプションはベアリングとハイトルクサーボセイバーくらい。
四独グラホなどの魔改造マシンは出られない。いかにイコールコンディションで遊ぶか、がキモなのだ。
同じはずなのに、あの人は速い!・・・は本当に腕の差、走らせ方の差なのがたまらない。
本格的なレースは無理だけど、
グラスホッパーならいけそう。それはウソじゃなかった。
まとめ
技術が進歩しても、いわゆる人間のヨロコビは昔から変わらないのかもしれない。
言い換えるなら、人間が楽しい!と感じることに技術の進歩はあまり関係がない、のかもしれない。(便利にはなるとしても)
実車しかり、ラジコンしかり。
五感を刺激する、心を揺さぶる。あるいは癒される。人はそれを求めて趣味に勤しむ。
35年の時を超え、走らせたグラスホッパーは、現在のマシンと比べたらビックリするくらい、遅いし、走らない。だが、
走らせる楽しさ、ワクワク感は全く劣らないどころか、むしろ、積極的にコレが良い、と思える楽しさなのだ。
さらに付け足すなら、
完全ノーマル+アルファで楽しむに当たって、
非常にリーズナブルに楽しめるところが素晴らしい。掃除くらいでメンテもあまり必要ないし、タイヤもダートなら全然減らない。
バッテリーは維持管理が優しいニッカドで十分だし、バッテリーそのものも安い。
クラッシュしても壊れにくいし、仮に酷くぶっ壊れても、なんならキットごと買い替える、なんてことも可能だろう。
グラスホッパー、目から鱗だ。マジで楽しい。
metabonz宮